日本画について


日本画を描いていますとお話すると、日本画って何ですか?浮世絵ですか?と聞かれることがあります
うーん、浮世絵は一般的には版画ですがその原画は日本画といってよいでしょうが…
そもそも、『日本画』という言葉自体は日本に『洋画(油絵)』が入ってきて
それ以前に描かれてきたものと区別するために付けられた名称です
源氏物語絵巻のように煌びやかなもの、力強い龍の天井画、淡い霧霞漂う木立など
表現もですが描かれる素材も絹、紙、木など様々です
輪郭などの線を大事に扱い、影をつけずに描くことが一般的です

そして不可欠なものは膠(にかわ)なので『膠絵』と呼ばれることもあります

日本画では胡粉水干岩絵具等の粒子の大きい顔料を
動物の皮から作った固着剤ので自分で練って使います
日本画用品専門店ではガラス瓶に入った状態で棚に並んでおり量り売りで販売しています
その色数は1,000色を遥かに超えますので圧巻です!!
初めて買い物される方は戸惑うでしょうが気になったビンを手に取り、
一両目(15g)単位でお店の人に量ってもらいましょう
袋に入れてもらえますが、小ビンにも入れてもらえます
また、既に膠で練られている製品には重要な役割をする棒絵具
絵手紙教室などで知られるようになった願彩があります
このように日本画の絵の具には多くの種類があります
下記でもう少し詳しく各々について…
 

胡粉(ごふん)
日本画の白色
として欠かせない胡粉は牡蠣等を長い年月風化させ
細かく砕き水にさらし精選し、板の上で乾燥させたものです
板から剥がしてバラバラになった状態が紙箱に入って販売されています
※この水分を干す工程から水干(すいひ)胡粉と本来は言います
貝の種類や精製度合で値段にもランクがあります
精製度が高いほど粒子が細かくなめらかで白色度も高いです
下地に使うと後から描く色の発色を良くします


使うには乳鉢で軽く擦り(からずり)し、膠をポタポタと少しづつ入れ
べたつかない程度の柔らかさの団子状にします
そして、百たたきです!
この胡粉団子を皿の上にたたきつけ膠がまんべんなく粒子にまとわりつくようにし、
充分まとまったら水にさらしてアク抜きをして少しの膠と水を入れて指で丁寧に溶き下し
好みの濃度で描きます

水干(すいひ)
胡粉に顔料で着色したものです
主に下塗りに使用します
褪色しやすいものが多いので注意してください
胡粉のように百たたきは一般的にはおこないませんが
からずりし丁寧に膠と水で練って溶き下して使用します

岩絵具
石を砕いた細かさの違いにより色の濃さが変わり番手で表されています
番号が小さいほど粗く、大きいほど細かくなり、一番細かいのは白(びゃく)です
塊り(原石)に近い状態が濃く、細かいほど光が乱反射しますので淡くなります
透明なガラスを粉々に砕くと白っぽくなる原理ですね
この岩絵具も種類があります
天然岩絵具
名前のまま天然の石を砕いた絵具ですので土から宝石まで色々です
同じ会社の同じ色でも製造したときにより原石がちがいますので
多少の色味の違いがでます

そして原料の不足や毒性(色によります)の問題により
新岩絵具がつくられました
新岩絵具
ガラス原料にコバルトやマンガン等の顔料を混ぜ込み炉で溶かし砕いたものです
天然岩絵具に比べ安価で質・色とも安定しており色数も多いです